私は新築ワンルーム投資に失敗して953万円の借金を背負いました。
ワンルーム投資物件を売却した後にローンの残債が残り、金融機関に一括返済しなければなりませんでした。
しかし、私は一括返済ができなかったので、金融機関から裁判所を通じて支払督促をされてしまいました。
そのあたりについては以下の記事に書いています。
この時は支払督促が自分の家に届いてから2週間以内に異議申立てを行いました。
異議申し立てをすることにより、金融機関と再度話し合いをすることができて、最終的には分割返済することで和解しました。
和解できなかったなら、確定判決が出て私の債務名義が金融機関に取得される流れになっていました。
そして、その後に金融機関から裁判所に申し出て、銀行口座の差し押さえなどの強制執行が行われていたことでしょう。
今回は強制執行をする前に利用されることが多くなった財産開示手続きについてとりあげようと思います。
財産開示手続きとは?
銀行やクレジット会社などの債権者が借金を返済しない借主に対して以下のことを行います。
電話・督促状 ⇒ 法的措置をとると書かれた内容証明書
⇒ 裁判所を通じて支払督促
⇒ 確定判決(債務名義を取得)
⇒ 強制執行(不動産執行、動産執行、債権執行)
確定判決が出て、裁判所からお墨付きをもらって強制執行を行うのが、今までの流れでした。
このあたりについてはこちらの記事に詳しく書いていますので、良かったら参考にしてください。
ただ、強制執行をしても相手の借主に資産がなかったら借金の回収ができません。
また、残念ながら借主が強制執行から意図的に資産を守るために隠匿することもあるようです。
それを防ぐために設立されたのが「財産開示手続き」です。
財産開示手続きをまとめるとこのようになります。
◆ 財産開示手続きとは
◎債務者(借主)が自ら弁済(返済)しようとする意志がなければ、法的手続きを利用して債権回収(借金の回収)を図るしかない。
◎債権者(銀行など)の最後の債権回収(借金の回収)手段である強制執行も、債務者(借主)に資産がなければ意味がない。
◎債務者(借主)の資産の所在については、債権者(銀行など)が調べなければならない。
◎強制執行の効力を発揮させるため、債務者(借主)に自らの財産・資産の状況を開示させるための制度である。
実は、この財産開示手続きは今から19年前の2003年(平成15年)から活用することができました。
しかし、財産開示手続きは効果的な制度ではありませんでした。
なぜかというと罰則がゆるかったからです。
財産開示手続きをして借主がそれを拒否したり、無視しても借主に科される罰則は「行政処分として30万円を支払う」というゆるい罰則でした。
だから、債権者(銀行など)は財産開示手続きをしようと思いませんでした。
実際に2019年までの17年間で債権者による財産開示手続きが行われたのは、たったの1,000件程度です。
これを問題視したのか、2020年(令和2年)4月1日に民事執行法で財産開示手続きが見直されました。
財産開示手続きの罰則が見直され、それまで行政罰だったのが、刑事罰になりました。
罰金50万円以下、もしくは懲役6か月以下と厳しく変わりました。
財産開示手続きに応じなくても大丈夫と思ってた債務者(借主)にとっては大変な衝撃だったことでしょう。
実際、財産開示手続きに応じなくて逮捕されたり、書類送検になった事例が出てきています。
刑事罰があっても実行されないものがあるなかで、財産開示手続きはすでに刑事罰が実行されています。
気になるのが開示の対象となる資産です。
開示の対象となる資産は、申立て段階における所有資産です。
それ以前の過去の資産は残念ながら対象にはなりません。
それでも債権者(銀行など)にとってはかなり有効な手段になりましたね。
財産開示手続きをされてしまった時の対策
借主側からの視点でいうと、
財産開示手続きをされてしまった時の対策はあるのか?
これが気になるところだと思います。
結論からいうと残念ながら財産開示手続きをされてしまった時の対策はありません。
もうこの段階では遅いのです。
こうなってしまったら財産開示手続きには、正々堂々立ち向かうしかないです。
対策はそれ以前に行わなければいけません。
タイミングとしては次の2つです。
①裁判所を通じて債権者に支払督促をされる前
②債務名義が取得される前(確定判決が出る前)
①は支払督促をされる前ですので、法的措置をとると書いてある内容証明者が自宅に届いた段階で対策をとるということです。
例えば、所有物の名義変更であったりなどです。
もしくは、その時に分割返済の話を債権者にしていくなどして支払督促などされないようにすることです。
②は裁判になってしまっているので、異議申し立てを行ったり、裁判に出廷して、相手と和解することを目指してやっていくしかありません。
それで、確定判決が出てしまったら所有物の名義変更をするしかありませんね。
私のように資産などない人は、堂々と財産開示手続きに応じてください。
財産目録に記入して裁判所に提出し、後日裁判所に出向くことになるはずです。
申し立て人(債権者)が出席することはめったになく、裁判官と書記官立ち会いで財産目録のことを聞かれます。
正直に「無いものは無い」と答えてください。
10分もかかることなく終わります。
これは実際に財産開示手続きに応じた人に聞いた話ですが、ちょっと拍子抜けです(汗)
資産があるのに「無いものは無い」というのは虚偽になりますので、絶対にしないでくださいね。
正直に申告してください。
以上、参考になれば幸いです。
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