こんにちは。
借金まみれの鈴木健司です。
今回は少し古い話になりますが、2022年10月に報じられた「フラット35、不適切利用計19億円、融資物件に居住せず」というニュースをとりあげます。
内容としては、
住宅金融支援機構が提供する長期固定金融型の住宅ローン「フラット35」をめぐり、
引用元:日本経済新聞
会計検査院は2022年10月5日、2017年から2018年度に融資を受けた物件で
自らが居住せずに第三者に賃貸するなど本来の条件を逸脱した状態だった利用が
計56件、約19億円に上ったと指摘した
というものです。
この中で悪徳不動産業者と金融機関ARUHIの取次により住宅ローンである「フラット35」を不正利用させられてしまった被害者の方がけっこういたようです。
「フラット35」を提供している住宅金融支援機構の前でデモ活動を行っている動画がYouTubeで流れていました。
私は悪徳不動産業者にだまされて新築ワンルーム投資で多額の借金を背負いました。
詳しくは「新築ワンルームマンション投資失敗で借金をした話(1)~(18)」に書いてますので、良かったら読んでください。
今回のこの「フラット35」の不正融資も他人事と思えませんでした。
私ももしかしたら同じ目に合ってたかもしれませんから。
フラット35は「住宅ローン」
住宅金融支援機構が提供している「フラット35」という住宅ローンは、自分自身や親族が居住する不動産を購入するための住宅ローンです。
しかし、前述の通り会計検査院から住宅金融支援機構に対して「フラット35」の融資を受けた物件に居住せず、賃貸に出している事例が存在すると指摘が行われました。
会計検査院の調査は一部案件をピックアップしての調査です。
合計19億円の「フラット35」の不正利用があり、これは氷山の一角であるとして会計検査院は住宅金融支援機構に対して是正を求めています。
フラット35の不正利用はなぜ起こるのか?
なぜ、こんなにも不正利用が起こるのでしょうか?
あくどい不動産投資家が金利の安い住宅ローンに目をつけて悪用しているのでしょうか?
そのような事例もありますが、実際は少ないようです。
それよりも悪徳不動産業者(宅建業の免許を持っている者)が知識のない人間を騙し、不正契約であると気づかせないままローンを組ませる事例が非常に多く発生しているのです。
実は会計検査院から「フラット35」についての指摘は今回が初めてではありません。
10年前の2012年にも「フラット35」が詐欺に利用されていて、金融機関の甘い審査がそれを招いているという報道がありました。
この時に住宅金融支援機構は「指摘を真摯に受け止めており、必要な検討を行っていく」と回答していました。
結局この10年、住宅金融支援機構は何も対策をせずに放置していたので、今回も同じことが起こったのでしょう。
報道は氷山の一角ですから、日常茶飯事に行われていると思ってよいでしょう。
詐欺によって「フラット35」のローンを組まされている事例では、購入している投資用物件価値を1,000万円から2,000万円も上回る融資が行われています。
これは、悪徳不動産業者が自分の取り分を増やすために、本来の市場価値とかけ離れた価格で売りつけるからです。
不正利用が判明して金融機関から一括返済を求められたとしても、売りつけられた人は一括返済できません。
ボッタくり価格で不動産を購入させられているので、不動産を売却しても多額の残債が残ってしまうからです。
実際、多くの人が自己破産しています。
物件価値を大きく上回る融資は、契約者の知らないところで悪徳不動産業者が用意した架空の書類によって引き出されています。
その審査書類のチェックを金融機関も住宅金融支援機構も確認しないまま融資を行っているからこんなことが起こってしまうのです。
普通にチェックしていたら不正なんて見抜けるはずですからね。
実際、私も3件目の新築ワンルームマンション投資の融資の際は「悪徳不動産業者によって勝手に預金額が改ざんされた」疑いがありましたから。
住宅支援機構は日本政府100%出資の機構です。
要はお役所体質の機構なんですよ。
こういった問題を放置するのは、問題が起こったときだけ「対処します」と言って何もしない組織だからです。
悪徳不動産業や怠慢な審査を行う金融機関の問題は永遠に解決しないでしょう。
被害者の人たちは自分自身の問題を解決したいのはもちろんですが、不正が生まれる実態を明らかにして今後の被害をなくしてほしいと考えているようです。
住宅支援機構に当時の経緯を正直に話したり、アルヒに対しても同様に面談を行い、審査に問題がなかったか、アルヒや代理店の不正関与はなかったのか、調査を求めています。
しかし、住宅支援機構の回答は「騙されたのだとしても契約者が立ち止まれるタイミングはあった」との冷たい内容。
要するに、「騙されたのが悪いんだからそんなことは知らない。一括返済しなさい。」と住宅支援機構は言っているのです!
虚偽の書類をろくにチェックもせず、融資を続けているアルヒと住宅支援機構は諸悪の根源といっても過言ではないでしょう!
詐欺によって「フラット35」を組ませる悪徳不動産業者やそれを通す金融機関があるという問題から目を背け、契約者にできるはずもない一括返済を迫るという姿勢はいかがなものでしょうか??
2019年に一度、業者が主導した「フラット35」の不正利用が計162件発覚したことがありました。
その際に住宅支援機構は騙された契約者に対して一括返済を求め、多くの人が自己破産を余儀なくされました。
不正を働いた業者はたいした処分もなく、改善の指示が行われたのだけで今も営業しています。
不正を審査で見抜けなかった金融機関については調査を行いもせず、どこの金融機関が審査を行ったのか情報公開すらされていませんでした。
騙されて不正利用した契約者は自己破産して泣き寝入りです・・・・
2019年の12月26日に住宅金融支援機構より不正融資額33億円と発表というニュース報道がなされました。
2020年4月3日に「フラット35」の利用、7,669件が該当住所に居住実態なしと発覚という報道がありました。
そして、今回の2022年10月の不正融資報道・・・・
2012年から10年たっても住宅支援機構は不正融資について何も対策をとっていないことがわかります。
被害者同盟が発足し、住宅金融支援機構を提訴
複数の被害者が集まり、2022年2月にARUHIフラット35被害弁護団及び被害者同盟を発足しました。
そして、2022年12月にARUHIフラット35被害弁護団より住宅金融支援機構を提訴したのと記者会見が行われました。
この記者会見で弁護団は
住宅金融支援機構の商品である「フラット 35」は居住用ローンであり、本来投資用ローンとして利用できない。
それを知らない契約者たちに対し、融資窓口であるアルヒ社員は融資時に一切説明することなく、不動産業者とアルヒが結託してはめ込んだ、と思われる事象が多々存在する
と説明しました。
そして、2022年2月の弁護団設立以降、債権を持つ住宅金融支援機構とも交渉し、機構に対しローン審査に関連する資料、個人情報の開示請求をしていました。
しかし、50名を超える依頼者のうち 現在で8名しか開示されていないとのこと。
一方、融資審査窓口となったアルヒに対しても 開示請求を行っており、アルヒは概ね情報開示に対応しました。
しかし、それぞれから開示された資料を突き合わせると違う資料があるなど不審な点が多いそうです。
また、2022年7月以降にアルヒは公平公正な第三者委員会ではなく、社内独自の調査チームでアルヒの不正融資 への関与を調査しているそうです。
その調査結果報告すら出ていない中で、住宅金融支援機構は債務者に対して「年内に一括返済を求める催告書を送付する」という暴挙に出たことにより今回、「期限の利益存在確認を行う」提訴をしたとのことです。
◆「期限の利益」とは
「期限の利益」とは、一定の期日が到来するまでの間、債務(例:借金の返済/代金の支払い)を履行しなくてよい利益を意味します。例えば金銭消費貸借契約(ローン契約)の場合、お金を借りた人は、お金を返す義務を負い、契約書でお金をいつまでに返すかという期限を定めます。
これは逆にいえば、返済期日が来るまではお金を返す必要がないという利益を得ていると考えることができます。これが「期限の利益」です。
引用元:契約ウォッチ https://keiyaku-watch.jp/media/keiyakuruikei/kigennoriekisoushitsujoukou/#:~:text=%E5%AE%9A%E3%82%81%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82-,%E3%80%8C%E6%9C%9F%E9%99%90%E3%81%AE%E5%88%A9%E7%9B%8A%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF,%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E6%9C%9F%E9%99%90%E3%82%92%E5%AE%9A%E3%82%81%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
住宅金融支援機構もアルヒも後ろめたいことがないなら、資料開示して事実関係を明らかにするはずです。
それをしないということは不正を隠蔽しているとしか考えられませんね。
裁判は長期化しそうですが、私は原告が勝訴することを祈るばかりです。
この問題を皆さんはどう思われますか?
コメント
コメント一覧 (1件)
私も投稿者さんに賛成です。
単に騙されたのが悪い、お前らも加担したんだから加害者だし、業者と結託した共同正犯だ。と思われる方もいるでしょうけど、もうすでにその次元の話ではないと思います。
客観的にみても、この件に被害者はいないと思っていて売却価格を当てた残債を双方で痛み分けにするのが妥当であるにも関わらず、住宅金融支援機構は今現在逮捕者続出や書類改ざん等疑うべき部分しかないアルヒが例え不正に関わっていたとしても、住宅金融支援機構は購入者に対して一括返済請求をすると発言したそうです。
住宅金融支援機構もアルヒも提訴され、疑義がかけられている状態で今の所潔白を証明する材料が一つもないのに、この有り様です。
私はこれこそ共同正犯であり、問題解決の意志など微塵もないことがわかります。